今回はアドラー心理学の入門書「嫌われる勇気」より、他者と円滑な関係を作っていくための「課題の分離」について記事にしてみようと思います。
今までの記事では人と向き合っていく上で必要な、物事の大切な捉え方をお話してきました。
それを踏まえた上でこの「課題の分離」を行うと自分の人生も自由に、そして相手の人生も尊重することができるようになります。
初めからはこちら。
前回の記事はこちら。
「課題の分離」とは文字通り相手と自分の課題を切り離して考えることです。
そして、他人の課題には決して介入せず、また自分の課題にも介入させないことが大切です。
具体的に説明すると「課題」とは
家族や会社や学校などの共同体の中で自身が与えられる「やるべきこと」です。
私たちはこの共同体を存続させていくために自分に与えられたやるべきことがあります。
例えば家庭という共同体では、両親が働いて収入を得るという課題、そして家では子供が手伝いをしたり、将来のために勉強をするという課題、などがあります。
つまり、
課題それぞれにはきちんと適した人がいるということ。
まずは、その「課題」が「誰のものなのか」ということをはっきりさせる必要があります。
ではその課題が誰のものなのか?という基準は
その課題をやることで、誰が一番結果を受け取るか
ということを考えてみるといいと思います。
もし大人が働かず、子供を十分に育てることができず役割を放棄した場合、罰せられます。
だから家族という共同体で収入という柱を作り健やかに育てるのは親の課題です。
では子供の課題はと言うと、勉強もせずダラダラとゲームばかり遊んでいたとしたら、成績は落ちるし学校での評価も下がるし希望とする学校に進学できないかもしれません。
それはいくら家族という共同体だからと言って、親が変わってやってあげられるものではありません。これは子供の課題です。
その「誰が取り組むべき課題か」を理解できたら、その後は分離をして考えます。
上記の子供の勉強の例でお伝えすると、勉強をするのは子供の課題。ではその時の親の課題は何かというと、子供に様々な可能性や選択肢を与えることです。
様々な可能性とはメリットはもちろん、デメリットもきちんと伝えること。
勉強をするとどんな未来の可能性があるのか。逆に勉強をしないとどうなる可能性があるのか。
子供が自分で選択できる自立心を育てることはとても大切です。
だからこそ、親にできることは培ってきた経験や自身が学んだことから伝えられることを子供に伝えることだけなんです。
そして伝えることを伝えたら、そのあとどう行動するかは子供の課題。
これをただ「勉強しなさい」と強制するのは相手に対する「介入」になってきます。
初めに良い人間関係を作る方法として「課題の分離」と「介入しないし、介入させない」ということをお伝えしました。
つまり
「勉強をすることのメリット・デメリットを話し、様々な可能性を伝える」ことは親の課題。
そして
「勉強をするかどうか」は子供の課題。
さらに
「勉強をしなさい!」と相手の行動を支配する介入は、相手の課題に踏み込んでいることになり、それは自分が口を出すことではない、ということです。
本書ではこの「課題の分離」を
「馬を水辺に連れていくことはできるが、水を呑ませることはできない」
と表現しています。
連れていくことができたとしても、無理矢理水を呑ませることはできない。
呑むかどうかは馬次第、ということですよね。
相手に介入してしまう時の心理として、相手を対等に考えていないことが多いです。
親と子の関係になると、どうしても親が子供に教えて「あげないなければならない」という視点に立ってしまいます。
そうではなく、以前も全体像で少しお伝えしましたが、私たちは全ての人に対して縦の関係ではなく横の関係で見ていくことが大切になってきます。
また、時に他人の課題を切り捨てることも必要です。
どういうことかと言うと「考えてもどうしようもないことは考えない」ということ。
例えば好意のある相手に対して「私のことを好きになってほしい!」と思うのは自由ですが、相手が自分のことを好きになるかどうかは相手が決めることですよね。
これはいろんな場面で言えることですが、人の目ばかり気になってしまう人はここの「分離」ができていないのかもしれません。
「こういう言えば嫌われないかな…」
「こういう対応をしたら笑われないかな…」
こう考えてしまう時に自分にできることは、その場で自分の最善を尽くすことだけです。
経験のある人にアドバイスを聞くことでもいいし、自分なりにきちんと調べた上で対応をするなど自身でできる最善を尽くす。
そしてその後どう思うかは相手が決めることです。
だからこそ、私たちは自分の課題に集中することが大切で、時に「勇気を持つ」ことが大切なんですよね。
この「分離」をきちんと理解することができれば、必要以上に周りの目を気にすることはなくなるはずです^^
・相手の人生を尊重し自分も自分らしく人生を歩むには「課題の分離」をすることが必要。
・課題にはその課題に適した人物がおり、それはその課題によって今後の結果を一番受け取る人。
・課題を分離したら介入はしない。できることは馬を水辺に連れていくことだけ。
・周りの目が気になる人は相手の課題に介入しすぎている可能性がある。自分が最善を尽くしたのなら、その後どう思うかは相手の考えること。
なかなかすぐに取りれられるものではないのかもしれませんが、この考え方を知っておくだけでもとても価値があります!
ぜひコツコツと続けていきましょう!